【埼玉県】統合報告書の発行企業一覧

『統合報告書』とは？

『統合報告書』とは企業の“価値創造ストーリー”を各ステークホルダー（株主、取引先、社員、金融機関など）に伝える事を目的としたコミュニケーションツールです。

統合報告書は、自社の強みや経営ビジョン、今後の事業展開などを中心に「財務情報」と「非財務情報」から構成されます。

「財務情報」…企業の売上や資産など、法的に開示義務のある情報
「非財務情報」…ESG［環境（Environment）/社会（Social）/企業統治（Governance）］への取り組みや、事業等のリスク、知的財産などの情報

従来の報告書から発展。今後のスタンダードに

従来、こうしたコミュニケーションツールは「アニュアルレポート」「コーポレート・ガバナンス報告書」「環境報告書」などと、各分野ごとに分かれていましたが、近年のSDGsへの注目度の高まりとともに、より包括的な「統合報告書」を発行する企業が増加しています。

日本でも金融庁と東証が策定したガイドライン「コーポレートガバナンス・コード」において非財務情報の開示を推奨しており、今後、上場企業における情報開示ではスタンダードとなるツールです。

“ガイドライン”で統合報告書の見方がわかる

何やら難しそうな統合報告書ですが、実は制作時の参考となる“ガイドライン”があります。国際統合報告評議会（IIRC）が提唱する「国際統合報告フレームワーク」では、報告書全体の留意点である「指導原則」と、開示すべき情報である「内容要素」が定められ、現在では多くの企業がこれを参考にしています。その他にも経済産業省からは「価値協創のための総合的開示・対話ガイダンス」が、サステナビリティ報告に関する標準化団体Global Reporting Initiative（GRI）からは「GRIスタンダード」が発表されています。

とどのつまり、現状ではどの企業もこれらを参考にして概ね似通った構成になっているので、何社か目を通せば構成をおおよそ把握できます。

「統合報告書」と「アニュアルレポート」の違い

「統合報告書」と似たツールとして、従来より活用されてきた「アニュアルレポート」があります。「アニュアルレポート」は、財務情報だけでなくトップメッセージや事業報告などの非財務情報も含まれる点で「統合報告書」と似ていますが、「アニュアルレポート」は単年度の報告として発行されるのに対し、「統合報告書」はより長期的な視点での経営ビジョンやその実現プラン、さらにはコーポレート・ガバナンス（企業統治）や環境報告までも含まれます。そのため「アニュアルレポート」から「統合報告書」に切り替える企業も増えているようです。余談ですが、銀行では銀行法に基づき「ディスクロージャー誌」の発行が義務付けられており、実質的には統合報告書となっています。

今、日本の統合報告書がアツい

実は、日本では統合報告書の発行数が世界でトップクラスといわれています。中でも日清食品ホールディングス株式会社は世界的なアワードにおいて2019年から3年連続1位の快挙を成し遂げています。そんな統合報告書がアツい日本の中でも、今回は地元埼玉県内の上場企業を中心に統合報告書をまとめました。「大いに参考としたいおすすめの統合報告書です！」と言いたいところですが、埼玉県内では統合報告書を発行している企業はまだまだ少ないようです。

埼玉県内上場企業の統合報告書（2022年8月、当社調べ）

金属製品

統合報告書 | 株式会社エイチワン: 埼玉県さいたま市大宮区に本社を置き、自動車部品などを製造、販売する本田技研工業の関連メーカー。2021年より統合報告書を発行。2021年版は全25ページ。初の統合報告書なためか「国際統合報告フレームワーク」やGRIのガイドラインを参考にしたそうです。
ジーテクトレポート（統合報告書） | IR情報 | 株式会社ジーテクト: 埼玉県さいたま市大宮区に本社を置くホンダ系の車体部品メーカー。2019年より統合報告書を発行。2021年版（全24ページ）では、開発本部長をはじめ各役員のメッセージにページが多く割かれているのが特徴的です。財務情報はざっくり掲載しながらも、経営分析にはしっかりページを割いてレビューしているのもメリハリが効いています。

精密機器

統合報告書 | IR資料室 | | IR情報 | 株式会社タムロン: 埼玉県さいたま市見沼区に本社を置くレンズメーカー。レンズだけでなくカメラモジュールの製造も手掛ける。2014年より発行していたアニュアルレポートを2020年より統合報告書に切り替え。2022年版（全27ページ）では、レポート毎に関連するSDGsの目標が示され、サステナビリティ色の強い内容となっています。

輸送用機器

AKEBONO REPORT（統合報告書）｜IR資料室｜株主・投資家の皆様へ｜曙ブレーキ工業株式会社: 自動車用から二輪車用、鉄道用、産業機械用などのブレーキ事業の他、自動車用を中心としたセンサー事業を展開。アニュアルレポートを2004年より発行し、2018年より実質的に統合報告書に。2018年版では冊子版（全25ページ）とウェブ版が用意され、ウェブサイトではさらに詳しい情報やデータを掲載するスタイルです。なお、2019年より事業再生となったため2018年のものが最終版。
統合報告書 | 株主・投資家の皆さまへ | テイ・エステック株式会社: 自動車用シート、内装部品を世界14カ国からグローバルに供給するシステムサプライヤー。本社は埼玉県朝霞市。アニュアルレポートを2008年より発行し、2021年より統合報告書に。2021年版（全35ページ）では、統合報告コンサルタントによる第3者レビューや、監査委員による座談会も掲載されていてオリジナリティがあります。

金融業

埼玉のみなさまとともに｜その他｜埼玉りそな銀行: 埼玉りそな銀行のミニディスクロージャー誌。2023年度版では伝えたい内容を全11ページにぎゅぎゅっとグラフィカルに濃縮してあり読みやすいです。埼玉県内の各地域別の事業展開が紹介されており、地元埼玉で親しまれる銀行を強く印象付けています。
ディスクロージャー | 《さいしん》について | 埼玉縣信用金庫: 全国250超のうちトップクラスの業績を誇る信用金庫。2024年版ではミニディスクロージャー誌兼業務報告書の形でWebサイト版と動画版も展開。冊子版は全8ページ、動画版は5分弱の内容で、こういったダイジェスト版で伝えたい情報をぎゅぎゅっと濃縮すると、ステークホルダーの皆さんもとっつきやすいのではないでしょうか。
武蔵野銀行｜ディスクロージャー誌: 埼玉県さいたま市大宮区に本店を置く地方銀行。ディスクロージャー誌（統合報告書）の他、ミニディスクロージャー誌、アニュアルレポートもあります。2022年版（全70ページ）の財務情報ハイライトでは、注目すべき数字が視覚的に強調されていて、さすが数字のプロですね。レポートはとかく情報の羅列になりがちなので参考にしたい表現です。

陸運業

統合報告書/アニュアルレポート | 西武ホールディングス: 西武鉄道やプリンスホテル、埼玉西武ライオンズ等を傘下に持つ西武グループの持株会社。2021年より従来のアニュアルレポートに代えて統合報告書を発行。多角経営のためか2021年版では全64ページと充実のボリューム。さらに関連トピックスなどの補足情報や特集にも紙面が割かれています。

小売業

ヤオコーグループ統合報告書 | IRライブラリー | 株主・投資家の皆さまへ (IR) | ヤオコー: 埼玉県を中心に関東地方で食品スーパーをチェーン展開。埼玉県川越市が本社。統合報告書は2018年より発行。2022年版（全23ページ）では、財務データは最小限に、価値創造ストーリーの紹介に注力しています。なんと英語版も制作予定とのこと（2022年8月現在）。

私たちは「伝える・伝わる支援の専門集団」です。

最後までお読みいただきありがとうございます。統合報告書はステークホルダーとのコミュニケーションツールである以上、伝えるべき情報がしっかり伝わることが重要です。アサヒコミュニケーションズは「伝える・伝わる支援の専門集団」です。コミュニケーションツールの制作なら、ぜひご相談ください。決算報告書などのレポート類の制作も実績多数です。